極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
それなのに、結婚まで考えるほど、彼のことを好きになってしまった。
もう消せない想いが胸にあって、日々は彼のおかげで彩られ、仕事を頑張っていられるのも彼の存在と支えがあるからだと思う。
一方、複雑な表情で黙っている万佑を見て、環はその心中を察した。
ヘッドハンティングの話を受け、決断する中でも彼女に告白する直前まで、自分も悩んでいたことだからだ。
「望まない形の恋になって、ごめん。こんなことになるなら、きっと告白を断ってたでしょ?」
「……環さん」
「そうなるだろうなって思って、俺も悩んだんだ。でも、仕事へのマインドは変えたくないし、万佑を欲しいと思う気持ちも大切にしたかった。それが、万佑を傷つけることになるかもしれないって思ったりもしたよ」
「じゃあ、どうして? 今、こうして打ち明けてくれた後でも、職場で再会した時でも、告白は遅くなかったでしょ?」
「俺が、欲張りになったせいだ。ごめん」
やっぱり受け入れてもらえないかと、環は肩を落とす。
こうなる可能性だってあったのに、リスクを取って突っ走った自分のせいだ。