極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
俯きがちになった彼の姿を初めて見て、万佑は動揺を隠せなかった。
環がどうしても自分を手に入れたくて、脇目もふらずに想いを伝えてくれた日々を思い出したのだ。
異動の相談に乗ってくれた彼もターニングポイントにいたのだから、不安を抱えた時もあっただろう。
それなのに、あんなに真摯に話を聞いて、背中を押して、心を支えてくれた。
初めてデートをした夜から、何度告白されても靡かない可能性だってあったのに、それでも一途だった。
毎日のように時間を共有して、多忙な日々の合間を見つけては、会おうとしてくれた。
時にはワガママになって、どうしても譲れない想いを持つのは素敵なことだ。
それが自分への想いで、同じように彼の日々を彩っていたとしたら、こんなに嬉しいことはない。
「万佑、俺のせいで気分を害してしまって本当にごめん。だけど、君を手放す気はさらさらないんだよ」
「環さん……」
改めて、どんな時でも揺らぐことのない彼の想いを浴びた万佑は、頑なだった心の一角が穏やかになる感覚を覚えた。