極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「別れるなんて考えてないから、万佑はなにも気にしなくていい。俺といてメリットばかりかと言ったら……それはなんとも言い切れないけどさ」
「そこは、自信たっぷりでいてくれるのかと思ったのに」
「万佑のことになると、どうも弱いんだ。自信ならあるけど、万佑が望むメリットを感じさせてあげられるかなんて、その時にならないとね」
ふっと微笑む彼は、やっぱり少し困った様子で話す。
そんな表情が好きだと思うようになったのは、いつだったかと万佑は思った。
出会った頃は強気で積極的で、息つく間もないほどのアプローチに圧倒されたこともあったのに、今夜の彼は自分への想いのせいで弱気になると言うではないか。
(環さんって、こういうかわいいところがあるから好きになったんだよね……。隣にいてあげたいって、思わせられる人なんだろうな)
万佑はそっと彼の手を取り、小首を傾げる。
覗き込んで環と見つめ合い、整理のついた心の内を話そうと思った。