極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「正直、社内恋愛は嫌です。でも、環さんとならいいかなって……少しだけ思います」
「少し?」
「まだ想像できないから……。だから、少しは興味があるって意味で」
「なるほど。でも、俺が望むのはそんな関係じゃないよ」
「え?」
彼の気持ちに寄り添い、自分の心や考えにも向き合って決めた答えが、途端に宙を舞う。
「俺は、万佑と結婚がしたい。だから、やっぱり社内恋愛は嫌だから考え直したいなんて言われても、応じない。働いている俺を見て惚れ直させたいし、他の男の手が触れる隙だって与えるつもりもない。強引で勝手だけど、俺は前に言ったことをやるだけ」
「……言ったこと?」
何度も甘い言葉をもらったり、誠実さを見せられてきたので、どの話なのかと万佑はまた小首をかしげた。
「俺にきっちり惚れさせてあげる」
繋いでいた手が彼の口元に持ちあげられ、やわらかな唇が左の薬指に触れた。