極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
間を置いて広報部に戻れば、すでに環を複数の男性社員が囲んでいた。
社員の視線を一身に集める彼は、見えないはずのオーラを放っているようで眩しい。
「あっ、清家さん。永縞専務が来てるんだけど、ちょっとなにか話してきてよ」
「えぇ!? どうして私なんですか? なにかって、なにを!?」
「ちょうど新しい広告のことで、男性社員と話してるみたいなの。清家さん、前職はうちのグループの代理店でしょ? 知識を生かして顔を売るチャンスじゃない」
「私はいいです! まだ異動して大きな成果も残していませんし。そんないきなり話しかけるなんて……」
(そんなの絶対にバレるに決まってる! 隠し通せる自信もないし)
ついさっき挨拶しただけで、慌てたくらいだ。
社内で専務と社員として話すには、もう少しこの環境に慣れる必要がある。
(環さんのことだから、距離感を無視してきそうな気もするし)
そして、彼と出会った夜を思うと、心配で仕方ないのだった。