極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
万佑と同僚が話している光景を遠巻きに、環は微笑ましく思った。
話している内容こそ分からないけれど、新しい環境にも難なく慣れて、打ち解けているようで安堵した。
(あんなに不安そうにしてたのにな)
異動の相談に乗った時、芯の強さを感じていたからこそ背中を押せた。
きっと大丈夫だと、半ば賭けるような励ましだったけれど、あれでよかったのだ。
「永縞専務、清家さんのこと見てない?」
「気のせいですよ、部内を見渡していらっしゃるだけで」
「そうかなぁ」
明らかに目が合ったけれど、同僚の気付きを肯定するわけにもいかない。
上手くごまかして業務に取り掛かったものの、ふと視線を上げれば、また環と視線が交わる。
(だから、見ないで!)
目線だけを横に流して、こちらを見ないようにとアイコンタクトしても、環は微笑むばかり。
そんな彼を見ている周りの女性社員は、うっとりした表情で彼を眺めていた。