極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「明日も一緒にいられるんだよね?」
「もちろん。だから、今夜はお泊まり決定。いいだろ?」
フロントにやってきたカップルは、周りなどまったく見えていないようだ。
男に腕を絡めて歩き、衿袖にふわふわのファーが付いた真っ白なコートが似合う女と、黒いコートの男。
女の方はよく知らないが、その男の背中と声色には、覚えがある。
「だいちゃんのエッチー」
「よく言うよ」
(だ、だいちゃん?)
万佑の目が釘付けになった。
関西に出張で、東京にはいないはずの大地がいたのだから。
万佑には気づかず、ふたりは無事にチェックインを済ませ、こちらに向かってくるではないか。
(修羅場は勘弁してよ! もうなんで私が隠れなくちゃいけないわけ!?)
近くにあった大きな観葉植物の裏に隠れ、やり過ごす。