極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「その様子だと、すっかり心の傷は癒えたみたいね。この前は死にそうな顔してたけど」
「まぁ、2週間経ったし、新年まで引きずりたくもなかったしね……」
「……環くんに癒してもらったからじゃないの?」
「ミミちゃん、どういう意味?」
「あら、違ったのねぇ。まぁ、万佑ちゃんは身持ちが堅いから、ワンナイトラブの経験もなさそうよね」
うふふ、と笑ってごまかすミミの手は、男性らしく大きい。
それに環の手を重ね見てしまったことをすぐに隠し、万佑はにこっと微笑んでみせた。
(多忙なイケメンか……。どんな仕事をしてるんだろう)
弁護士? ――だとしたら、16連敗なんてプライドが許さないだろうなぁ。負けることを誰よりも嫌いそうな職種だ。
医者? ――あの風貌なら、女性看護師や患者にもファンが多そうだし、恋に発展する環境がないとも限らないのかな……。
それか、どこかの企業の普通のサラリーマン。証券会社とかIT系とか……。
少なくとも、自分が勤めているブルーメゾン・アドにはいない端正な環の容姿を思い出しながら、万佑はごぼう巻にかじりついた。