極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「どっちにしても、万佑ちゃんは早く次の恋をした方がいいわよ。結婚、したいんでしょ?」
「……まぁ、いずれはね」
「お正月も、親御さんに結婚しないのかって聞かれただろうし」
「どうしてそれを……」

 年末、都内近郊にある実家に帰ったら、いい話はないのかと言われてきた。
 イブに振られた上、自分が浮気相手だったなんてオチのある話をする勇気は当然なく、3年交際していた大地とはまだ続いていることになっているし、そのうち結婚するだろうと期待をさせたまま。
 心苦しいが、失恋したばかりなのに急かされたくはなく、それしか方法がなかった。


「29歳の女の子を持った親なら、そういう話をするだろうなぁって思ったのよ。別に万佑ちゃんの親御さんがここに来たわけでもないし、私が他の誰かに例の話を漏らしたわけでもないわ」
「うん、ミミちゃんがそういうことをする人だとは思ってないんだけど……。次の恋って言われてもなぁ」

< 40 / 276 >

この作品をシェア

pagetop