極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 楽な仕事などないのだが、コンサルは独特な職種で、万佑が選ぼうと思ったことはなかった。当時から広告業界に興味があったけれど、そうじゃなかったとしても、形のないサービスを売るコンサルの仕事に向いているとは思えなかったのだ。
 そして、環が勤務している〝FNコンサルティング〟は、業界でも指折りの外資系戦略コンサル。ついさっき、ミミから多忙だと聞かされたが、納得だ。


「万佑ちゃんは?」
「私は、広告代理店勤務です。ブルーメゾン・アドでプランナーをしていて……」
「そちらも大変そうだ」
「……永縞さんには及びません」
「いえいえ、そんなことは」

 終わらなそうな掛け合いに、ふたりは目を合わせてふっと微笑みあった。


「年が明けたら、ふたりとも傷が癒えててよかったわ。これ、私からのお年玉」

 カウンターの中にいたミミは、牛もつ煮込みと自家製ナムル、出汁巻き卵を並べる。

< 44 / 276 >

この作品をシェア

pagetop