極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「ところで、お互いの素性もよく知らないで、この前はいったいなにを話していたのよ」
「それは、俺たちふたりの秘密。ミミちゃんだって、イヴの夜にあれからどうしたのかなんて聞かれたくないでしょ?」
秘密にするような話は、特別なかったと思う。
失恋話ならふたりに話したし……。
でも、キスを予感させられたあの瞬間のことだけは、できれば言わないでほしいけれど。
「なによ、私だけ仲間はずれ? もう、環くんって意地悪ねっ! 万佑ちゃんに環くんの秘密、バラしてやるんだからっ」
わざとムッとしてみせたミミが万佑に向き直り、「実はね、環くんが16連敗した理由って」と話しだす。
万佑はさすがにそれは申し訳ないと、ミミに向かって小さく首を振った。
気になってはいたけれど、そういう話は本人の口から聞くのがいい。
当然、ミミもそれはわかっているのだが、環を少し困らせてみたくなった。
「聞く? 俺の話」
「あ、いえ……無理には」
「別にいいよ。ミミちゃんにはさらっと話してあるし」
だけど、本人はケロッとしていて、まるで他人の恋路を酒のつまみにするかのようなノリだ。