極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
(16人全員が彼女ってことじゃなかったんだ……。軽い人なのかと思ってたけど、そんなに縁談があったことは、そうでもないってことだよね?)
誰か仲介する人がいて縁談が持ち込まれるはずだから、彼の評価は悪くないのだろう。
「見合いと失恋は、俺の仕事とかいろいろに引かれちゃって、実らなかったんだよ」
「いろいろってなんですか?」
「んー、まぁ、それはまた追って話すけど」
環は答えを濁して、出汁巻き玉子を頬張る。
「5人の彼女たちは、俺が愛しすぎちゃったせいで」
「……要は、重いってことですか?」
「重いとは言われたことはないよ。でも、俺が気持ちを抑えられなかった自覚はある」
「気持ち? 相手のことが好きだって意味ですよね?」
好きでいてくれる彼氏を振る必要はなさそうなのに、どういうことなのかと、相変わらず万佑の頭の中からは疑問符が消えない。
ましてや、もしそれが自分だったらと思うと、この前のイヴだって幸せに過ごせたはずだ。
プレゼントや未来の約束も、もらえたら嬉しいけれど、なによりも変わらずに好きでいてくれることが必要で……。
その想いが抑えられないなんて、聞かされたら嬉しくて幸せなのに。