極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「まぁ、でも彼氏が悪いわね。そんな男、万佑ちゃんには似合わないわよっ! こっちからポイ捨てしてやりなさいな」
「もう捨てられた私が?」
「向こうはバレたの知らないんでしょ?」
「……いいよ。穏便に別れる」
「あら、そう。私だったら、大事なところを蹴りあげてやるんだけど」
「あははは! ミミちゃん、それはやりすぎ」
話していると気が紛れるが、ふと間が空くと切なさが押し寄せる。
この3年が無駄だったとは思いたくないのだ。
(29歳になって捨てられるとか、結構傷は深いな……)
しかも連れていたあの女は、万佑よりも若そうだった。それに、あんな甘え方はしたこともない。
大地はああいうタイプが好きだったのだろうか。
(いや、そうだったんだろうな。だから、私が浮気相手で……)
泣きそうになるのをビールでごまかし、おかわりを頼んだ。