極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「……私、そこまで恋愛経験ないですけど、いいですか?」
「いい? ちょっと考えてみて。仕事も最初はなんの繋がりもない企業同士が手を取り合うことがあるよね? 実際に恋をする時も、最初は知らない者同士。友達から始まる恋だって、そもそもは他人なんだよ。だから、俺のことを知ってる人よりも、知り合ったばかりの万佑ちゃんの考えを聞かせてほしい。それに、お互いをよく知らないからこそ、新たな発見があったり刺激を受けることもあるはず。なによりも、俺だけのための時間にならないように、万佑ちゃんが楽しいって思える時間を約束するから。期間は設けないけど、万佑ちゃんが次の恋を見つけたら、無理強いはしない。もし、それで相談事があったら俺だって聞くし……どうかな? 君にとってマイナスはないと思うけど」

 引き締まった顔つきで、真剣に話す環は、万佑の反応を待つ。
 決して急かすことなく、だけど確実に頷かせる自信が瞳に宿っていて、ふたりはしばし見つめ合った。

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