極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「……いいんですか?」
「別にいいよ。ミミちゃんだって怒ってるわけじゃないし、ただ飲みたいだけだよ」
「そうかもしれませんけど」
(結構高そうなシャンパンだけど……気にしてないのかな)
それとなくカウンターに置かれたラミネートのメニューを手にする。
どのメニューよりも高額な数字の並びに、万佑は目を丸くした。
「なにか食べたいものがあれば頼んでいいからね。俺が出すし」
「えっ、どうしてですか?」
万佑が問いかけると、彼はスッと身体を寄せてきて、一緒にメニューを眺める。
ほんのり漂う清潔感のある香りに、彼女はドキッとさせられつつも、気づかれないようにメニューに視線を置いてごまかした。
「今日から、早速レクチャーしてもらうため。万佑ちゃん、チーズフォンデュは好き?」
「すっ、好きですけど……」
イヴの夜を思い出させる距離感と、環の声色に鼓動が胸の中で鳴りだす。
彼に特別な気持ちはないはずなのに、その色気と整った容姿のせいで、普通の会話でさえ意識させられてしまうのだ。