極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 今日だけならと、万佑は理解を示す。
 確かに、ミミの店は庶民的な居酒屋ではある。和洋折衷、豊富なメニューが揃っているが、どれも手が出しやすい価格帯だし、さっきのシャンパンが特別に高いだけだ。

(でも、永縞さんが本当は高級店とか贅沢な料理を好んでて、デートのたびに連れて行っていたんだとしたら、それはそれで女の子の方が疲れちゃうだろうなぁ)

 万佑は彼の恋愛に想像を働かせつつ、シャンパンをひと口。


「美味しい!」
「そう? よかった」

 今まで飲んだことのあるどのシャンパンよりも、口当たりがよくて、香り高く、バランスのいい味に万佑が感動すると、環は嬉しそうだ。


「万佑ちゃんと飲むと、俺もいつもより何倍も美味しいよ」
「えっ!?」
「ん? なに?」

 さらっと甘い言葉を言われたような気がして、万佑は動揺のままに聞き返したが、当の本人は分かっていない。

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