極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「はい、おかわり。飲み過ぎには注意しなさいよ? ――あら、いらっしゃい。適当に座って」
ミミは万佑にジョッキを渡すと、ちょうどやってきた男性客に挨拶をした。
この店に来るのは、大抵近隣に住む人ばかりだ。
しかし、顔なじみの常連はいないので、万佑はなにげなく右側に聞き耳を立てた。
「いやぁ、ミミちゃん聞いてよ。俺、16連敗」
「えぇっ!? また振られたの、アンタ!」
(16連敗って、どんだけ……。性格に難ありとか?)
サービスでもらった厚揚げをひと口大に切り分け、頬張りながら考える。
そもそも16連敗もする環境にいるだけ、すごいことだ。社内恋愛でそれだけこなしていたら、ただのプレイボーイと噂され、17連敗も確実だろう。
どんな男なのかと興味がわいて、万佑はビールジョッキを傾けつつ視線を流した。