極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「永縞さん、ちょっと言いにくいんですけど、多分、お相手は永縞さんのスペックに惹かれていただけかもしれません」
「えっ!? ……確かに、私には勿体ないって振られるのが多かったけど」
「それ、逆です。そういう理由を付ければ、自分が悪く思われないし、永縞さん自身を傷つけることなく別れられるからかもしれません」
「うわぁ、そういうことか……」
勿体ないので、なんて断りの常套句だ。
それとも、そういう女性ばかりを引き当ててしまい、なにが普通なのかもわからなくなっているのか……。
はたまた、彼が意外にも純粋な男性なのか……。
(永縞さんって、恋愛経験が豊富そうに見えて、そうでもないのかな……)
「万佑ちゃんに先生をお願いして、本当によかったよ。今の意見、目からうろこだった。言われてみれば、散々贅沢させてあげたけど、本当に喜んでたのは俺といることじゃなかったかもって、そんな気もしないでもないような……」
環が、とうとう項垂れてしゅんとしまった。
カウンターに肘をついて、大きな手で顔を覆う彼にどんな言葉をかけていいものかと、万佑は戸惑う。