極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 彼にとっても、初めて会ったイヴの夜のキス未遂やこの前のことは、なにもかも〝お試し〟のはず。
 だけど、恋愛感情はないのに、環がどういうつもりで接してきているのかを考えると、胸が痛む。
 おそらくそう遠くないうちに彼が新しい恋を見つけた時を思うと、切なくて悲しい気分になるのだ。

 たった2度しか会っていないのに。
 イヴに失恋して、恋は当分休もうと考えていたはずなのに。

 出会ったあの夜から、どういうわけか環のことを考えてしまうようになった。

(永縞さんのせいです……全部)

 調子を狂わされているのに、彼が構ってくれるのが嬉しい。
 素直にそう思ったら、自然とスマートフォンの画面で文字を選び、送信していた。


【週末大丈夫です。楽しみにしてますね】

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