同期以上、彼氏未満
走り疲れて、トボトボ歩いて、公園の屋根があるベンチに座った。


昴も私も、不満がたまってたんだな。


言いたいこと言える関係だと思ってたのに、いつのまにか言えない関係になってたんだ。


っていうか、昴も私に妬いてたんだ。


本当に、新人くんのことは何とも思ってないのにな。


昴もたぶん、あの女の子のことは何とも思ってないんだろう。


だけど、仲良さそうにみえる昴と彼女を見ると、ザワザワした気持ちになって、落ち着かないんだ。


私は、その不安な気持ちを素直に昴へ伝えればよかった。


昴も、私に直接聞いてくれれば良かったのに。


ふたりとも、不安な気持ちでいっぱいで、余裕がなかったんだ。


どのくらい時間がたったんだろう。


足音が聞こえて振り向くと、傘をさして立っている昴がいた。


「・・・昴」


「メグ、ごめんな。


俺、アイツにめっちゃ妬いてたんや。


もちろん、須川さんにも妬いてるしな。


濡れてるし風邪ひくで、帰ろうや」


昴は隣に座ると、タオルで私の髪をふいてくれた。


「昴、ごめんね」


「ええよ」


「ここにいるってよくわかったね」


「あちこち探して遅くなってもうた、ごめんな」


「ありがと」


タオルをかぶった私に、昴は何度もキスをした。


「なんか、いっつも家でしかキスせえへんから、緊張すんな」


手をつないで帰って、一緒にお風呂に入って、髪だけ乾かしてベッドにダイブした。


何度も体を重ねてきたけれど、今日はなんだかドキドキした。


「メグ、俺だけ見てや」


「・・・うん、昴も」


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