同期以上、彼氏未満
私は、裕和と半分ケンカ別れのような状況で大阪を離れた。


ちゃんとした約束も、なにもないまま。


「昴は、彼女と約束してから遠距離になった?」


「約束ってなんや?」


「えー、離れても変わらないよ、とか、落ち着いたら結婚しよう、とか?」


「・・・そういうのは、ない」


「そっか・・・ごめん、変なこと聞いて」


「気にすんなや」


なんか、昴の笑顔がさみしそうなのは、気のせい?


「私ね、裕和に東京行きをすごく反対されてさ。


ちゃんとわかりあえないまま、東京に来ちゃったんだよね。


もう、無理かもなぁ・・・」


その時、私のスマホがふるえた。


「あ、裕和からだ」


「なんや、うまくいってるやん」


「ごめん、ちょっと出るね」


お店の外で、電話に出た。


「もしもし」


『恵、この前はひどいこと言って、ごめん』


「いいよ、もう」


『ゴールデンウィークには、俺が東京行くから、待ってて』


「わかった、待ってる」


『いま、外か?』


「うん、友達と飲んでる」


『帰り道、気をつけろよ。


じゃ、本社でがんばれ』


「ありがと、おやすみ」


『おやすみ』


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