同期以上、彼氏未満
店内へ戻ると、昴はテレビを見ていた。


「ごめん、お待たせ」


「おかえり、その顔なら仲直りできたってことやな」


「うん」


「そろそろ帰るかな、送るわ」


「いいよ、遠回りになるし、自転車だし」


「ちょっと、酔いざましに歩きたいんや」


会計をすませ、昴は私の自転車をおしながら、隣を歩いてくれた。


「あさってから、いよいよ本社勤務やな」


「そうだねー、緊張する」


「メグなら平気や、俺もいるし、安心しいや」


「なによ、その根拠のない励まし」


「俺がいれば、さみしくないやろ」


「ま、一人で異動になるよりはマシかな」


「知らん人ばっかりやもんな、俺もメグがいてくれてよかったわ」


不思議だ。


なんとなくモヤモヤしてた不安が、うすらいでいく。


「昴は、彼女と遠距離になって不安じゃないの?」


「不安はないで」


「そっか、昴は彼女とうまくいってるんだね」


「メグも、なんだかんだ続いてるんやから、平気なんちゃう?」


「自分でもよくわかんないんだよね、もうつきあって5年くらいだし、このまま結婚するのかな、なんて思ってたら遠距離になって、結局なんにも言われなかったし」


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