同期以上、彼氏未満
「何よそれ、食べたいだけでしょ?」


「それもあるな」


「昴こそ太るよ」


「確かにな、ヤバいからジムにでも通うかな。


一緒に行かへん?」


「行かない!」


「東京暮らし初めてなんやから、優しくしてーな」


「引っ越し手伝ったじゃん」


「あっそうや、メグの実家にも呼んでくれよな。


俺、メグの母さんの夕飯食いたい」


「ちょっと、どこまでずうずうしいわけ?」


「引っ越しの時に持ってきてくれたおにぎりと唐揚げ、めっちゃうまかってん。


あれ、もっかい食べたいわ」


「・・・あれ作ったの、私だけど」


「マジか!


すげーなメグ、見直したわ。


一人暮らしの時は、揚げ物なんてせんかったやんか」


「だって、賃貸だし、汚したくなかったし」


「・・・あんたたち、なんか夫婦漫才みたいだよ」


そばで私たちのやりとりを聞いていた佐久間さんに突っこまれ、ようやく止まった。


「ほな」


昴は、指導係についてる先輩の席に向かい、手帳にメモしていた。


お互い、今日からスタートしたんだな。


昴がいてくれて、心強かった。


午後の勤務を終え、帰りがけにスマホを見たら、詩織からメッセージが届いてた。


『ねえ、東京勤務初日だし、3人で飲もう!』


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