同期以上、彼氏未満
グループにいるのは、詩織と私と昴だけ。


『行くで!』


『行く行く!』


詩織の呼びかけに、昴も私もすぐに応じ、みんなの家に帰りやすい駅近くの居酒屋で飲み始めた。


乾杯して、お互いの好みを知り尽くしているから、みんなで食べられるツマミを頼み、しゃべりたおすのみ。


「詩織、マーケティング部はどう?」


「あのね、課長がめっちゃイケメンで、優しくて、惚れた」


「よかったやん、新しい出会いやな」


「モチベーションあがりまくりだね」


「そうなんだ、今月末の歓迎会が楽しみ」


「詩織、目がハートになっとるで」


「いいんだよ、こういう時期が一番楽しいのかもよ」


「二人ともつきあってる人いるからって、なんかずるーい」


「昴はうまくいってるみたいだけど、私はもうマンネリだよ。


ケンカして大阪出てきちゃったし、まあなんとなく仲直りしたけど、ちょっとギクシャクしてるし。


長すぎる春、ってやつかなあ」


「でも、ゴールデンウィークには来てくれるんでしょ」


「うん、でもそれってさ、単に裕和の実家が東京だからだもん、たぶんついでだよ」


「ついででもいいじゃん、会えるんだし」


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