同期以上、彼氏未満
「そやで、会えるだけいいやんか」


「昴は、ゴールデンウィークに大阪へ帰るんだから、彼女に会えるじゃん」


「まあ、な」


「いいないいな、遠距離恋愛って、なんか盛り上がりそう」


「詩織、ドラマの見すぎや。


現実は意外とクールやで」


「そうそう、まだ始まったばかりだけど、やんなきゃいけないことが多すぎて、裕和のこと考える余裕がないし」


「なーんだ、つまんないの」


「詩織は、課長とうまくいくとええな」


「そうだよ、なんだかんだいって、そばにいるのが一番いいよ」


「だよね、私、東京本社に来られて良かった」


明日もあるし、今日は早目に切り上げようってことになり、解散した。


同じ方向の昴と私は、けっこう混んでる電車に乗った。


必然的に密着してしまうことになり、私は酔いが冷めた。


昴とは長いつきあいだけど、新潟では電車に乗らなかったし。


電車はカーブにさしかかり、倒れそうになった私を昴は抱きかかえた。


「ごめん、昴」


「平気か?」


「うん、ありがと」


昴の腕は、力強くてあったかかった。


「メグ、意外と細いねんな」


「ちょ、ちょっと、変なとこさわんないでよ」


「俺だって、さわりたくてさわってんじゃないで」


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