同期以上、彼氏未満
「誤解されるようなこと言わないで、恥ずかしいから」


「ごめんな」


「そんな、標準語で謝んなくてもいいよ」


「そやな」


もう揺れはおさまっているのに、昴は、私の腰を支え続けた。


最寄り駅に着いて降りようとしたら、


「俺も降りるわ」


昴もついてきた。


「え、昴は次の駅の方が近いでしょ」


「もう遅いし、送ったるわ」


「いいよ、平気だし」


プシューッとドアが閉まり、電車は走り去ってゆく。


「送らせろや」


ぶっきらぼうだけど、私の頭をなでる手に癒された。


「俺な、ゴールデンウィーク大阪へは帰らへんのや。


彼女が、東京に来たいって言うてて」


「そうなんだ、彼女は大阪出身なの?」


「そうや、だから東京でいろいろ行きたいとこあるんちゃうかな」




裕和、思い出さないなんて言って、ごめん。


私は、もう距離に負けてるのかもしれない。


マンネリという言葉にのっかって、消極的になってるのかもしれない。


昴の、普段と違う態度にドキッとしたりして、自己嫌悪だ。


けど、こんなに居心地のいい昴との関係を、壊すつもりはなかった。


今のままで、いいんだ。


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