同期以上、彼氏未満
「ねえ、ゴールデンウィーク、須川さん東京に来たんでしょ?」


「うん、一泊旅行した」


「それだけ?」


「それだけ、って、なに?」


詩織は、アイスティーを飲み干すと、


「だって、指輪してるじゃん」


私の右手を指差しながら、言い放った。


「ああ、これね・・・」


いまだに慣れない、指輪にふれてみる。


ゴールデンウィーク明けの月曜日、詩織と会社近くでランチしてる。


「自分で買ったとか、言わないよね?」


「言わないけど」


「須川さんに、旅行先でもらったんでしょ?」


「うん」


「もしかして、プロポーズされた?」


「うん」


「え、なんでそれ言わないの?


秘密主義?」


「うーん、特に理由はないんだけど」


「あのさ、違ったら悪いんだけど。


須川さんとの結婚、もしかして迷ってる?」


「うーん、なんかまだ実感わかなくて。


10月には東京本社へ異動になると思う、とか言われたし」


「そうなんだ、じゃあタイミング的にもバッチリなんだ」


「まあね。


でもさ、詩織は何でわかったの?」


「朝からその指輪に気づいたけど、恵が言い出すまで待ってよう、って思ってた。


嬉しかったら、真っ先に話してくれると思ったから」


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