同期以上、彼氏未満
「ありがと、ちょうどコーヒー飲もうと思ってたんだ」


「せやろ、なんかメグ、煮詰まっとったみたいやから」


コーヒー飲みながら、昴にデザインの相談をした。


「それって、パッケージの地色も変えてええの?」


「うーんどうだろ、現行品は黒だけどね」


「まー、ちょっと高めのヤツは黒になりがちやけどな。


そこをあえて変えるのはどうや?」


「地色かあ・・・黒しか考えてなかった」


「他社にもない色で責めるのもええんちゃう?」


「うーん・・・」


色見本をパラパラめくっている私を見ていた昴は、突然私の手を握った。


「え、なに?」


「このネイルの色、ええんちゃう?」


「え?」


昴が私の左手を包みこんだあと、指差したのはチェックのネイルの一色のエメラルドグリーンだった。


「ええやん、エメラルドやし」


昴の声は耳を通りすぎていくだけで、私の全神経は昴がふれている指先に集中していた。


「すごい昴、こんな細かいとこ見てたんだ」


「当たり前やろ、好きな子のことはなんでも知りたいんや」


「・・・あのさ、いま一応、勤務中」


「そうやな、でも仕方ないやんか、無意識に目で追ってしまうんやから」


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