同期以上、彼氏未満
ふたりで暮らす部屋も決まり、前祝いも兼ねて飲みに行った。


「なんか、やっと落ち着いたな」


「そうだね」


「少しずつ荷物まとめなきゃな。


でも、恵はギリギリまでやんないだろ」


「そうかも、なんか今忙しくて」


「まだ時間あるし、なんて言ってると、あっという間に引っ越す前日とかになるからな」


「でもさ、ふたり同時に引っ越すのって大変だから、裕和が先に引っ越したら?」


「それもそうだな」


それからはあまり会話も弾まず、実家へ送ってもらった。


明後日は、裕和の実家へ挨拶へ行く。


こうやってミッションをこなしていくと、結婚するんだなって意識はする。


意識はするけど、どうも実感がわかなかった。


つきあっている時は、イチャイチャして盛り上がった時もあるし、たまにはケンカもした。


でも、つきあっている期間の長さなのか年齢なのか、なるべくトラブルにならないように、お互いつかず離れずの距離感を保ってきた。


そんな関係が、「結婚」っていう二文字に翻弄されているような、流されていくような、何とも形容しがたい状態だった。


翌日は、今のうちに少しは整理しようと部屋の片づけを始めたものの、暑さもあってはかどらず、余計に散らかるという悪循環に陥ってしまった。


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