同期以上、彼氏未満
会議室に入ると、ホワイトボードにはカレーのことらしきことが所狭しと書かれていた。


「さっきまでミーティングやってたんや。


あと30分は誰も来ーへんし、一度俺にプレゼンしてみ」


「え、なんで昴にプレゼンしなきゃいけないわけ?」


「メグ、俺が大阪時代に何回プレゼンしたと思ってるんや?


俺を納得させられれば、合格や」


「なんか、いまいち乗り気じゃないけど・・・」


プロジェクターとパソコンを接続して、昴に向かい合う位置に立った。


昴は、真剣な顔して私を見つめている。


深呼吸して、手元の資料を一読し、昴の目を見ながら話し始めた。


「私が提案するのは、自分のために買うご褒美チョコのパッケージです。


従来品は黒を基調としたデザインでしたが、高級感はそのままに、黒から光沢のあるエメラルドグリーンに変えました。


グリーンと相性のいいゴールドとレッドをポイントに使用し、他社との差別化もはかれるかと思います」


そこまでは、なんとかしゃべれたけど。


「このチョコは、残業帰りのコンビニや、週末のスーパーで、手に取りたくなるような商品にしたいと考えました。


そのためには、えー、女性だけでなく、甘党の男性にも、えっと・・・」


思っていることを、言葉にできない。


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