同期以上、彼氏未満
土曜日、裕和はお昼過ぎまで寝ている。


私は普段よりは寝坊するけど、それでも8時には起きてゴミを出し、洗濯して一人で朝ごはんを食べ、掃除をして録ってあるドラマを見たりする。


裕和が起きてから、簡単なお昼ごはんを食べて、買い物へ行って、夜ごはんを食べる。


裕和と同棲するって決まってから、週末は外でのんびりランチしたり、飲みに行ったりするのかと想像してたけど、現実は違った。


ほとんど外食はしないし、スーパー以外ふたりで出かけたこともないし。


こんなもんなのかな、と思ってたけど。


詩織は、年上の彼氏と週末のたびに出かけてたし。


つきあい方はそれぞれだし、比べようもないけど。


「裕和、たまには出かけない?」


「俺はいいよ、週末はどこも混んでるし」


あっさり断られた。


裕和は、どうして私とつきあってるんだろう。


私は、裕和のどこが好きなんだろう。


お互いに、惰性でつきあってるだけなんじゃないかな。


そんな悩みを抱えつつ、クリスマスを迎えた。


今年のイブは月曜だけど振替休日で休みだったから、朝から夕飯の仕込みを始めた。


普段は使わない奥のワイングラスを洗おうとして、手前のウイスキーグラスを取り出した。


「あっ!」


手からグラスがすべり落ちて、ガッシャーンと派手な音をたてて割れてしまった。


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