同期以上、彼氏未満
それからは、裕和の話は一切しなくて、ふたりでケーキを食べながらしゃべりたおした。


涙を流すほど笑い転げ、時間を忘れて話し続け、終電を逃してしまった。


「ごめん、こんな長居するつもりじゃなかったのに」


「じゃあ、どんなつもりやったん?」


「えっと、裕和とケンカして家を飛び出して、行くとこなくて、話だけ聞いてほしくて、それで・・・」


「俺は、メグの味方や。


メグが誰とつきおうてても、それだけは変わらへん」


昴は大きな手で、私の髪をなでた。


ソファーがなくて、ベッドに並んで座りながら話していたから、すぐ右隣には昴がいる。


このまま寄り添って、昴の左肩に頭をのせたりなんかしたら、昴はどうするだろう。


裕和の待つ部屋へ戻る私を、受け入れてくれるんだろうか。


昴のことだから、やんわりと断るかな。


裕和とキッチリ別れない限り、昴は私とつきあわないだろう。


つまり、私が一歩踏み出さないと、環境は変わらないってことだ。


私の本当の幸せは、誰とつむいでいくんだろう。


私の隣では、誰が一緒に歩いてくれるんだろう。


一歩を踏み出す勇気を、私はもてるんだろうか。


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