シネコン
四周にある天窓から七月


の陽光照りつけるとある


総合駅。


当時はまだ世間に浮浪者


を駅構内や地下街に巣く


わせる寛容さが有った。


そんな彼等のひとりが汗


ばむ陽気の中、乗降客の


波に小さな波紋を作りな


がらカップ酒を片手にフ


ラフラと千鳥足で中央口


に向かっていた。


取引先に向かう途中擦れ


違う夏めいた女性の服装


の胸元と前を行く女の尻


を評価しながら、真っ昼


間からご機嫌な旦那を横


目に足早に追い抜こうと


した時だ。


向こうから白っぽい花柄


のワンピースを着てツン


とした色白のほぼ百点満


点がこちらに向かって来


た。
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