シネコン
思わず口笛を吹き、歩調を


緩める。


遠慮のない視線を飛ばす。


視線が合った。


首を捻って後ろ姿を目に


焼き付けようとした時だ、


陽気な赤ら顔したコップ


酒の持ち主があろうこと


か彼女の腰に手を伸ばした。


驚いた様子で腰を引き難


を逃れた彼女にもう一度


手を伸ばそうとした。


「おっちゃん、気持ちは


わかるけどな、、」


とつぶやいて彼の手を掴


んむと彼女に行けと首を


振った。


それでも収まりがつかな


い浮浪者は大事なコップ


酒を揺らして何とか思い


を遂げようと喘いだが、


鉄道公安官が来るのを


見ると我に帰り驚くよう


な身軽さで人混みをすり


抜けて行った。
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