シネコン
山盛りのポップコーンと


ソフトドリンクを前にして


人待ち顔で一人佇む彼女の


テーブルに、尻ポケットから


キーチェーン付の財布を半分


以上お揃いで突き出した若い


二人連れが断りもなく


腰を下ろした。


まるで白雪姫と七人の小人だ。


いや、メンバーにもなり


きれなかった小人達だ。


違和感がありすぎる。


目も合わせない彼女に


いつも通り酔っ払った


女子高生を口説く調子で、


前のめりになってしつこく


迫っている。


彼女お得意のツンデレが


崩れかけ、うつむき加減に


肩を震わせている。


育ちが良いんだろう


こういったシュチュエー


ションに慣れていないらしい、


明らかに無謀なチャレンジャー


の奇襲に手を焼いている


様子に見えた。
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