シネコン
緊張から弛緩へ


ストレスから開放され、


思い出した様に隣の彼女に


目をやると肩を揺らしている。


脅えているわけではなく、


明らかに、笑いたいのを


我慢しきれずに肩を揺すって


いるのだ。


三人組のにらめっこが


可笑しかったらしい。


思い違いだった様だ、


俯いて困った様に見えたのも


可笑しくて俯いていた


だけだったのかもしれない。


釣られて笑いそうになるのを


堪え、席を立つとチケット


売り場に向かった。


奴らが席を外した理由が


よく判った。


彼女にとって私も重要な


コントのメンバーになって


しまった様だ。


兎に角、ことはあっけなく


収まった。
< 5 / 20 >

この作品をシェア

pagetop