倉島菜々子は初恋未満?
「傷でも、何でも、別になんだっていいよ、構わない」

そっと、囁くようにゆうくんは言った。



「その傷が、倉島さんのものなら、俺は傷まで好きになれるな」


顔が、もっともっと近づく。

ゆうくんの唇が、私の傷に、そっと触れた。


そのまま、すれ違うように、ゆうくんは歩き出した。


「またね」
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