自分の成したコト
2
それから時は流れ…





春の穏やかな日差しが差し込むある病院の広い個室に、酸素マスクを付けチューブに繋がれ、私は今にも息を引き取ろうとしていた。



長い人生だった…

抗い続けた私の人生…




私は、階級制度をなくすため大統領になることを選んだ。

だが、下民であるが故に国会議員になるのが関の山だった。

周りの者は、決められた職業にしか就けない下民でありながら、国を動かし国会議員になれただけ凄いと言うが、それだけでは足りないのだ。

国で定められた国会議院の退職年齢に達すると、私は寺子館で先生になった。

尊敬する先生の教えを後世の若者達に伝え、そして世界を変える私の夢を託すためだ。



だが、世界は変わらなかった。

結局私の手で世界を変えることは出来なかった。

世界はあの日のままだ…




『良い人生だったか?』
あの日の先生が俺に問う。




答えはノーです、先生。

世界を変えることに全てを注ぎ、それを叶えることが出来なかった人生を、良い人生だと言うことは出来ません。


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