男性恐怖症
私が泣いてると
変態野郎はピタッっと
足を止めた
―――手はつかまれたまま…
「な…お前何泣いて…
お前、入学式間に合わなくて
いいのかよ?」
―――ぇ?
それって…この人
私を体育館に連れて行って
くれようとしてたの…?
「…何そんな目で見てんだよ
お前が体育館行きたいって
言ったんだろ」
そういって変態野郎は
また私の手を引っ張って
走った……
「ちょッ…………」
体育館に連れてって
くれてる………?
この人本当はいい人……
…………いや、違う!
いい人だったら私の
ファーストキスをあんな風に
奪ったりなんかしないもん!
思い出すとまた気持
悪くなってくる―――
手つかまれてるのもイヤ…
でも体育館に連れてって
くれるなら…………
って一応ガマンしてる…
だんだん体育館みたいなのが
見えてきた………
やっとこの人から解放される―
そんなことを考えてたら
いつの間にかついたみたいで
変態野郎の足が止まる――
「はぁ…着いたぜ…」
「ぇ?あ…あり…がと…う」