滅びゆく世界を夢見て俺は
数日間閉じっぱなしだった玄関を開けて久しぶりに外に出たら見た目は以前と大差なかった。

ただ焼け焦げたような臭いと腐ったような臭いが混ざり合って、とにかく臭い。

まあそんなもんだろうなと、愛車のマウンテンバイクを漕ぐ。

すごく静かだ。

車は一台も走っておらず、人の話し声も一切聞こえない。

そこかしこにゾンビがフラフラしているが奴らは基本的に無口のようだし、奴らに俺が生きた人間だと認識される前に自転車で駆け抜けてしまうので追い掛けられる事も無い。

警戒していたよりもゾンビの数が少なくて助かる。

ほとんどの人がすでにゾンビになってしまったと思うのだがどこにいるのだろう。

てゆーかゾンビって普段何をして時間を過ごしているのだろう?

…………どーでもいい。

時折壊れていたり焦げていたりする車が放置されている通りを機能してない信号に停められる事もなく、軽やかにゾンビどもをかわしながら十分も自転車を走らせれば目的地のショッピングモールに到着だ。

その必要もないのに何となく習慣で自転車を駐輪場に置き鍵をかける。

中はどうなっているかな?
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