生きるための傷

episode 1

「優香、今日まで部活に参加すんだっけ?」


その問いかけに優香は面倒臭く答えた。

「そうだよ。てかそれ今朝も言ったんだけどなー」

私は田舎のとある自称進学校に通う高月優香。今日で化学部を辞める決心をした。


「いやぁ、寂しくなっちゃうな!化学部にお前がいないと!」

入試で私と変わらないような最低点数をたたき出した斎藤拓磨は、化学部の1年。

「斎藤はあんなつまんない部活やめたくなんないの?不思議だなー」

「いや面白いだろ!!...ってかなんで優香、急に美術部入りたいから部活辞めるとか言い出したんだよ」

中学の頃に美術部だったからだよ、なんてこいつに何回言ったことだろうか。

「んー、なんとなく」

いかにも「嘘つけ」という顔で斎藤が睨んでくるがひとまず無視しよう。




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