迷い人の館
少女「また始まる……」
暗い部屋に天窓から差し込む月明かりは、少女の白い肌、白い髪に降り注ぎキラキラと輝かせる。
トントントン……
静かな部屋に扉を叩く音が響く。
「お嬢、俺らの準備は出来た。
いつでも出れるぞ。」
若い男の声が扉の外から聞こえる。
もう一度、月を見上げて目を閉じ深呼吸を一つ。
ゆっくり目を明ける。
少女「今行く。」
扉を開けると、黒短髪の青年と白長髪の青年が立っていた。
少女「お待たせ。」
黒・青年「おう!下でじぃさんが待ってるぞ。」
腕を組ながら小さく笑う黒髪の青年。
白・青年「博士の話によると、少し距離があるようです。」
無表情ながらも優しい声色の白髪の青年。
少女は頷くと、正面の長い階段を降りる。
その後ろを二人の青年が続く。