青の瞳に映るのはーー
*廉side*


空き教室に、行けば見えたのは壁際に追い込まれた梓ちゃん。

「離してよ‼

あんたなんかに興味ない‼
触るな‼」
 

いや、意外に逞しいなってのが感想。
だけど、相手は男。

梓ちゃんより、数倍力はある。

両腕を簡単に捕らわれた梓ちゃん。


「やっ!!」


強気な梓ちゃんから、漏れる声。

そんな奴に聞かせるなよ。


ドアに手を伸ばすも、空かない。

「…………っ!!!」

勢い付けて、蹴り飛ばしたドア。


「え………?貴方、さっきの」

びっくりしてる梓ちゃんの、腕は掴まれたまま。


「おい、離せよ‼」


「ひっ!!いや、俺は別にーー。
なんも悪く………「はあ?悪くないって?

嫌がる女泣かしてなにもしてない?
笑わせるな。 

消えろよ‼」


「す、すいませんでした!!!」


「きゃっ」


放られる様に突き放された、梓ちゃんを抱き締めた。


「大丈夫?」


梓ちゃんが、俺を見上げた。


「なんで、ここに………っ、なんであたしなんか、助けたの?


美心見たいに素直じゃないし、ツンツンしてるし、言いたいこと言っちゃうし……

可愛く………ないしっ」


ポロリ、と流れた涙。


思わず、クスリ、と笑った。


「なんで、笑うの?」

いや、可笑しくて。

つーか、なんて言うんだっけ?
こう言うの。

ああ。

「可愛くて、可愛くて……
俺には、梓ちゃんが可愛く思うよ‼」


サァ、と赤くなる梓ちゃんの見たことない表情に。


一瞬高鳴る胸。

「だ、誰にでも言ってる癖に!!」


バタンッ!!!


あ~あ、逃げちゃった。




< 91 / 242 >

この作品をシェア

pagetop