先輩の彼女にしてもらいました
彼女が、ソファに置いてあるクッションを投げつけてきたので、すかさずよけた。

「もーよけちゃダメっ」

「ごめん、ごめん」

まだ怒りが静まらないのか、俺の胸をポカポカ叩いてくるので、細い手首を掴んで、抱き寄せた。

怒った顔が、可愛いくておかしくて、俺は笑いを堪えるのに必死だった。

「嫉妬してくれてるんだね。蒼井さんは可愛いな」

小さい彼女の体を、さらに強く抱きしめ思わずそうつぶやくと、すぐに抵抗されなくなった。力が抜けた彼女は俺に体をあづけている。

「もう、そんなに怒らないで」

「ずるい、先輩」

だけど彼女は、優しく微笑んで俺の背中に手を回した。

「どうして?」

「だって私のほうが先輩を好きだから」

「そんなことないよ、俺だって」

その時、ふいに彼女に口づけされて、最後まで言えなかった。

そういえば、以前にもこんな風に彼女から、キスされたことがあったなぁ。

あの時は、本当に凄くびっくりしたっけ。

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