先輩の彼女にしてもらいました
とりあえず、俺が嫌われてたわけじゃなかったんだとわかって、少しホッとした。

ここ何日か避けられていた理由がようやくわかったのですっきりした。

彼女に言い寄ってきたクラスメイトのことや時田のことを気にならないといえば嘘になる。

いや、どちらかといえば時田の方が、厄介な気がする。

でも、彼女のことは信じたいんだ。

だけど。

わかってるけど、信じてるけど、時々不安になるのはどうしてなんだろう。

失うのが、こんなに恐いって思ったのは君が初めてだったからかもしれない。




「先輩、今度の試合、頑張ってください」

週末にはいよいよ、インハイの県大会の準決勝だ。

「うん、勝つよ、必ず」

「試合、絶対見にいくね」

「蒼井さんが見ててくれたらきっと、俺に勇気をくれるから。いつも以上に闘える」

彼女は、俺の背中には翼が生えていると言う。

もちろん、そんなファンタジーなものがなぜ彼女に見えるのか、なんてことを俺に解明できるわけはない。

ただ、彼女は、どこまでも高く俺を飛ばせてくれる。そんな気がするんだ。

「つばさ先輩」

嬉しそうに、微笑む彼女を俺はまぶしく見つめていた。







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