先輩の彼女にしてもらいました
つばさ先輩は、そちらを指差してなにやらコーチに真剣な表情で、激昂している。

間違いない、早くまた自分を試合にだせって言ってるんだ。

確かに、今のT高の強さはポイントゲッターのつばさ先輩の抜群の身体能力と得点力に負うところが大きい。

でも、多分それだけでは、この先いつまでも勝ち進めないのかもしれない。

けれど、先輩だってその課題は充分理解しているはず。

そしてチームのために、懸命に自分の役割と責任を果たそうとしている。

胸が熱くなるような光景がフラッシュバックしかける。

私だって、今の先輩のように闘かっていたんだ。

リレーチームのアンカーとして、みんなのためにって苦しい練習にも堪えた。たかたが体育祭のリレーなのに、私は1人真剣にリレーの練習をしていた。


だけど、今ならわかる。私にとっての陸上と先輩にとってのバスケでは、その思いが、全然違うってことが。

胸が大きくなり体型がどんどん変化していった私はタイムが伸び悩み、全てを胸のせいにして、簡単に陸上を捨ててしまった。
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