先輩の彼女にしてもらいました
交代の選手と変わろうとしている先輩が、少しこちらを見たような気がしたけれど、すぐに向こうを向いてしまったので、気づいてくれたかどうかは、わからなかった。

第4クオーターで12点差は厳しいかもしれないけれど、つばさ先輩なら不可能でも可能にできるはず。

「一緒に応援しよ、すずなちゃん」

「うん、せーの」

その後私達2人は、もう汗だくになるくらい、ヒートアップして大声で応援した。

つばさ先輩は、信じられないくらいの大活躍で、一気に得点を縮めていく。

は、早い。

先輩が、ドリブルしながら走る。その躍動する筋肉に、目を奪われる。

シュートを打つ時の彼はまるで鳥のように軽やかに高く飛ぶ。

そして、地上に降りてにこやかに微笑む。

先輩、笑ってる。そうか、彼はこの試合を楽しんでいるんだ。

もしかしたら、ピンチになればなるほど、燃えてくるのかもしれない。

先輩が、加わったことでT高の士気が格段に上がる。

残り最後の2分間を、私は多分この先ずっと忘れることはないだろう。

積極的に遠目からのシュートを狙っていく、つばさ先輩に大谷さんからパスがまわる。
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