先輩の彼女にしてもらいました
お願い、入って。

その瞬間、私には、大歓声も聞こえなくなり、息をすることもできなかった。

ボールが綺麗な弧を描き、ネットに吸い込まれていく。

ついに、つばさ先輩の逆転のシュートが決まって私と沙織ちゃんは、抱き合って喜んでいた。

そこで、タイミング良く試合終了をつげる合図がする。

「やったやったー。勝ったー」

「決勝戦進出ー。きゃーすごーい」

気がつけば涙が、ポロポロ溢れ出ていた。

よかった。おめでとう、つばさ先輩。

武田さんが膝から崩れ落ちるように座りこんでしまったのを、笑顔のつばさ先輩が後ろから支える。

武田さんが、振り向いてつばさ先輩にガシッと抱きつくと、大谷さんや他の40人近くのチームメイト達も2人に抱きつきにいき、ごちゃごちゃになる。

みんなが体一杯に喜びを表現していた。

時田くんも目を赤くして泣きそうになっている。

凄い、凄い。

T高バスケ部一丸となって掴んだ素晴らしい勝利。

先輩達の新しいチームの最後の夏はまだまだ終わらない。
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