先輩の彼女にしてもらいました
「ごめん、でもみんなも陸上やってて忙しいんじゃないかなって思って」

「うーんまあね」

その後、延々と高校の陸上部の練習の厳しさや、現状、タイムの伸び方等をさんざん聞かされた。

陸上を離れた私には、あまり興味のない話ばかりで本当はうんざりだった。

そろそろ電話を切りたかった。

先輩に電話してお話ししたかったから。

もう一度彼に、お疲れ様、おめでとうと早く伝えたかったのに。

「ちょっとー、すずなったら生返事ばかりして。ちゃんと聞いてるの?いま、すっごく大事な話をしてたのに」

アキちゃんは明らかにイライラしているようだ。

「あ、ごめん、なんの話だったかな?」

私は慌ててアキちゃんに聞き返す。いけない、うわの空で、全然聞いていなかった。
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