先輩の彼女にしてもらいました
「ごめんなさい、急いでたからっ」

そういえば、お風呂上がりで髪の毛も半乾きのままだし、スウェットの短パンなのもちょっと恥ずかしい。

「ああ、うん、いやこっちこそ急にごめん」

「ううん」

先輩はいつものような、優しい笑顔だったから表情は読み取れなかったけれど、呆れてるよねきっと。

街頭に照らされている彼の整った甘いマスクにいつにも増してうっとりしてしまう。

「先輩、ここまで走ってきたんですか?」

「うん、まあね」

「遠いのにどうして?試合後で疲れてるでしょ。大丈夫ですか?」

先輩のおうちからここまでって何十キロあるんだろうか。想像もつかない。

「会いたかったから」

サラッと熱い言葉を呟く先輩にドキドキして下を向いた。

私も、今会いたいって思ってたところだった。
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